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協会規制、自主規制 〜完全信託、スプレッド、レバレッジ〜

2009年03月10日(火)

完全信託

 完全信託が義務化される流れのなか、中にはすでに完全信託への移行を終えている業者もある。ここでいう完全信託とは、顧客の預かり資産を担保にしたカバー先金融機関への信用状(LG)を付帯させない。つまり、第1優先弁済権は顧客であるという条件が満たされている信託である。さらにここでの議論では、対象となる顧客の預かり資産は、現金の部分ではなく値洗いを含めた有効とか純資産と呼ばれる部分を指す。たとえば10万円入れていて、今日の終わりで持っているポジションの値洗いが2万円の損であれば、その人からの預かり資産は8万円となり、この8万円が“翌日”信託に振り替えられる。つまりこの瞬間に業者が倒産したらその顧客が請求できる金額は8万円という理屈になる。実際に倒産した瞬間(日中)の有効額(純資産)が保証されているわけではない。今のところ、そこまできめ細かいリアルタイムの信託は現実的には不可能である。

ハイエンドプレイヤーにとって

 さて、この完全信託がもたらす効果についていろいろ考えてみる。まず一番目を引くのは投資家目線で見た場合の動き、それもハイエンドと呼ばれる動きの速い投資家である。かれらは、より取引条件の良いところで取引をしようと心がける。そのため複数口座を持ったり、違う口座へ資金を移したり、違う取引システムを積極的に使いこなす学習をすることを嫌わない。むしろ楽しんでいる。彼らから見れば完全信託は大変都合がいい。今までは、よりリスキーな低スプレッド業者や、内部でどういうポジションリスクを抱えているかわからない業者にお金を預けることが不安であったが、完全信託になることで、その不安がかなり消える。単純に完全信託といってもいざその業者がつぶれれば、ポジションの納得のいかないレートでの決済とか資金返還まで時間がかかるという問題は依然として残るので、そういう意味では100%不安やリスクが消えるわけではないが、かなりの後押し効果は出る。

業者にとって

 次に、完全信託にするということは業者の立場からすれば、カウンターパーティに預けるお金を自前で調達しなくてはならないということになる。もしくはその分の与信を銀行からもらわなくてはならない。つまり成長するほどに自己資金を別途調達しなくてはならないか、それを不要とするほどに利益が増えて内部留保が膨らむかのどちらかであるが、後者は現実的には難しい。この業態は、利益は常に値洗いの中にあるため利益(資本)としてのキャッシュを手にすることが後追いになる傾向がある。そうなると、資金重要が高まることになる。あとはだれがお金を提供するか、EquityでやるかDebtでやるかという話になる。幸い最近はファンドがぱっとしないので、事業ファンドあたりはこのマーケットに入ってくる兆しが出てきている。

自主規制の求めるもの

 どちらも規制にはなじまないものであるが、やりすぎの業者が1社ぐらいふっとばないと誰もやめない。ましてやそれで、そこそこの利益があがり、見た目成功しているのであればなおさらである。問題は抱える潜在的な市場リスクに見合う利益=内部留保=リスクに対する担保力を養えているかどうかである。いくら自己資本規制比率の市場リスク額が毎月ゼロであっても、それが本当の最大リスクではない。それらの数字は簡単に操作される。月次の締めでいったん仕切りの取引を行えばそれでゼロにできるのである。本当の意味で業者自身がモニターしていなくてはならない(義務ではなくて、したいこととして)のは、瞬間最大値である。たとえば1分ごとに区切ったときの顧客の取引の売り方もしくは買い方の最大値(通貨ベース、通貨ペアではない)が本当は見たいところである。相場が荒れているときに、カバー取引が1分間遅延した場合にどれくらい新たなポジションがなだれ込むのかという“加速度”を視点としたリスク量をいつも体にしみこませておくことは経営者としては“やりたいこと”であり、規制があるからという義務でやることではない。そもそもそういうリスク管理は自己防衛としてやるべきことであり、誰かに言われて渋々やることではない。リーマン破綻の教訓を少しは活かしたいものである。バランスシートに掛けるレバレッジが高いということは、資本の高回転を意味し、それはいいこととして評価される時代があったが、こといまの時代にあっては、それも程度問題ということになる。

レバレッジとスプレッド

 一方、自主規制の対象として、レバレッジを取り上げるのはわかる。これは業者も投資家もともに苦しい環境におとしこまれる可能性があるからである。追証をとるほうもとられるほうもいやなものである。できればお互いにそのような状況は避けたい。消費者ローンも最大金利は25%とかに決められてしまうのと同じ理屈になる。しかしそもそもレバレッジについては100倍といわれて100倍かけるかどうかは投資家の判断にゆだねられるべき問題である。出されたからといって全部食べる必要はないはずである。しかし残念ながら、これはあくまでも投資家が、正常な判断が常にできるという前提の話であり、現実にはそこからトラブルが発生する(食べ過ぎておなかを壊す?)以上、なんらかの制限は必要になるのは致し方ない。

しかしスプレッドはそうではない。あくまでもディスカウントブローカーが薄利多売に挑戦しているのと理屈は同じである。卸値よりも安い値段で売ればその会社は損をするのは当たり前だが、そこにタイムラグやマリーという、本来OTCの業者として期待されるべき機能を発揮した結果(、その逆ザヤ損失が、適度に吸収されるだけの十分な利益を得ることができれば、まさに海外でこのFXの業者を Retail Aggregator とか Retail Facilitatorと呼ばれる通りの成果を上げていることになる。恥じる話ではない。ただ結果、リスク管理がおろそかになり、倒産したりすればその社会的責任は大ということになる。だから何が適正な利益かを考え、それを正常に的確にコントロールする技術を持つことが、個々の経営者には求められるのである。業者は抱えるリスクをうまくコントロールし、それに見合うだけの利益をあげられているだろうかと自らに問わなくてはならないはずなのである。常に規制の先を行く自律的コントロールを目指したいものである。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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