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レバレッジ関連のパブコメ回答から(結局現実的なレバレッジは20倍以下?)

2009年08月13日(木)

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パブコメ回答を読んで、2点気になる点があり、いつものように書かせていただきます。

▼【パブコメ結果】証拠金倍率規制について、2010年8月1日施行=金融庁

一つ目は、「追証とロスカットの同居のシナリオ」の章でもひととおり触れているのですが、改めてその論点を書き直しました。

■結局現実的なレバレッジは20倍か16倍?

レバレッジとロスカットの規制をきちんと現行システムに反映させるためにはロジカルに規制内容を咀嚼しなくてはならない。以下、そのための頭の整理。
監督指針のIV−3−3−4の(4)ロスカットに係る留意事項[1][2][3][4]をもう一度よく読む。この中で私の頭の整理として、

ロスカットを実行する水準は業者の判断
ロスカットの実行が適切におこなわれていること

パブコメの回答にしても改正案にしても、その表現は金融庁の前提として、従来証券の信用や先物、あるいは商品先物で使われる電話取引時代から使われる「追証制度」を前提とした書き方になっているように見える。一方、今の時代FXは特にこの点システム化が進み、大手の業者では昔ながらの“電話で追証”というやりかたは採用されていない。この出来る限りアルタイムに口座状況をチェックし、規定の水準に達したら強制的にロスカットを口座の全ポジションに対して自動でおこなうという方式(ここでは以後これを「自動ロスカット方式」と呼ばせていただく)を考慮した表現になっていないように思え、ロジカルな整理に苦慮する(こうした客観性を求めるパラメータの概念の議論に解釈論が入ってくること自体あまりよろしくないとすら私は思っている)。

規制の内容を私なりに咀嚼すると、「追証制度方式」においては、必要証拠金を4%に設定して、実預託額(有効額)が4%の額を下回ったと確認したら速やかに追証を求めるか強制ロスカットをしなさい、となる。追証請求をすれば、現実的には明日の、たとえば午後3時までに入金がないと(回復しないと)その時点で強制ロスカットをするという運用になる。実際にカットするときの%が、3%になるのか2%になるのかは問われない。逆にその時点で4%を回復していると、ロスカット免除となる可能性もある。逆に途中経過でマイナス2%になっている場合もあるだろうが、客が明日3時までに払うと言い、業者が待つと言った以上業者は強制的にカットできなくなる可能性が高く、これがトラブルの温床となる。こうした運用上のリスクや曖昧さを排除する結果、現在の「自動ロスカット方式」が生まれてきたはずなのだが、あえてポストIT革命の今、この方式を是認していることそのものに私は問題を感じる。実際そういう発想が証券業界の常識であり、金融先物といっても結局は証券文化に染まった環境では、そういう考えから大きく変化していくことは困難なのだろう。

さて、話しを戻して、この追証制度方式では、カットのタイミングに“時間”のパラメータが存在する点が特徴となる。これを現在多くの業者が使う「自動ロスカット方式」に当てはめると、リアルタイムに変動する価格で実預託額を計算し、結果規定した%を下回ったと判断したらすぐに口座単位で全ポジションをカットするロジックに、新たに“時間”の概念を入れなくてはならなくなるので“大変だ”。もしその大変な改造がイヤなら現在のロスカットポイント=4%に設定せざるを得なくなる。そうなると実際に投資家がポジションを維持しようと思ったら、5%とか6%分を預託しなくてはならない。レバレッジでいうと、25倍ではなく、20倍(5%)か16.6(6%)倍となる。

【パブコメ41の回答】
「契約締結時点において、実預託が必要証拠金額を下回った場合、不足額を直ちに預託させない場合には契約を継続することは禁止されますので、強制決済等の方法により、取引を解消する必要があります。」

【42の回答の表現】
「通常合理的に必要な期間を排除するもではありません」

となっている。

 「直ちに」とか「通常合理的に必要な期間」の解釈は、「1営業日後まで」らしい。今日の午後3時に不足と判断したら明日の午後3時までに不足額(追証)の振込みが確認されないと、強制ロスカットをしなくてはならない、という解釈で、そういう追証を求めません、あるいは求めて待つという時間的リスクをとりませんという業者は、4%割った瞬間にカットしなくてはならないというのが、私がいま一番“正しい”と思っている今回の改正案の解釈である。

 ただし、である。ここで次の発想が生まれうる。今まではそのカットの判断をリアルタイムでやっていた業者にしてみれば、なんとなく追証制度方式でやるほうが、客受けがいいように思ったら、このリアルタイムでの計算を毎日1回午後3時にだけやる、という手段も考え付く。そうすれば、システムに改良を加えなくてもただ、毎分やっていた計算を一日一回だけにすればいいことになる。むしろ運用負荷が下がる。そのかわり、4%の枠の中で日中(=24時間)の変動リスクを吸収しなくてはならない。そういう緊急時は任意で計算するという条件をつければ大体その手のリスク回避できる。仮に業界が、何とかしてロスカット=4%ではなくて、実質的に維持証拠金=4%のレベルで運用したいと思い、こういう方向へ動いたとしたら、今回の改正は改悪以外の何者でもなくなってしまう。
 こうした動きをけん制するために、ロスカット判断の計算はより頻繁にしなさいというプレッシャーを受けていると思うが、一方でそのメリットがまったくいただけないのならそれは不公平ではないかという声が業者側からも投資家側からも聞こえてきてもおかしくないと思うが、パブコメにはそういう論点のコメントがない(4%に反対する意見はあるが、何をベースとした4%かという点が具体的に論じられていないという意味)。

ちなみに、「自動ロスカット方式」においては、契約締結時において通常、そのポジションを建てるに必要な証拠金額が余剰にあるのかどうかを確認して建てさせるため、「締結するときに不足している」ことはない。

恐れながらではあるが、私の願いとして、「通常合理的に必要な期間」が許されるなら、上記のロジックで運用する場合、マージンカットラインを2%におくことで、4%から2%の間にいる間は何もしないでも、“通常”の「合理的に必要な期間」として解釈させてほしい。さらに規制監督指針の表現を、それを明確に許容する表現に変えてほしい。ただし、4%を割り込んだ時点で追証の通知をメールで送付するという機能を追加する必要はあるかもしれないし、そういう意味だという基本合意が顧客と交わされなくてはならないかもしれない。

 なぜこういうことをしつこく言うかというと、以前にも「追証とロスカットの同居のシナリオ」の章で説明したとおり、規制する側の表現の前提の「建て付け」と、現状の大手のシステム化された運用ロジックの「建て付け」が合っていないと思うからである。今回のパブコメにおける金融庁の表現は、あくまでも「追証制度型」を前提としているため、表現が現在大手で採用される「自動ロスカット方式」にうまく適合しない。合わなければ合うように業者がシステムを改造すればいいではないかということなのかもしれないが、そもそも電話取引スタイルの「追証制度型」的やり方から今の自動システム化された「自動ロスカット方式」に変わってきたのにはそれなりの進化の理由がある。より合理的で、投資家、業者側双方にとってリスク管理がより精緻にできる方法へと進化してきたものだと思うし、背景にはネットバンキング24時間化という条件もある。が、今回この規制の解釈が上述のような私の解釈どおりだと、「自動ロスカット方式」を採用する業者は、

(1)今までの進化とは逆行する形での機能改造をする(恩恵は、維持証拠金=4%で運用できる)
(2)この改造をしたくないのなら、単純にロスカットポイント=4%に設定する
  (恩恵は、開発コスト増加なし。反面実質のレバレッジは20倍以下になる。)
(3)上述のとおり、ロスカット計算を一日一回にして手作業で強制ロスカットをする
  (ITコストは上がらないが、業務コストとエラー、トラブルは増える)

という3つの方法のどれかになるのではないだろうか。

規制当局が伝統的な「追証制度型」のスタイルを考慮することに異論はないが、それに配慮するあまり、規制関連の表現に、機能としてのロスカットには明確に言及しているにもかかわらず、そのロジックへの配慮(整合性)が見られない。結果ITシステム開発者に困惑、誤解、無用な変更を強いるような結果にならかいか心配である。さらにそうした変更が、結果的に使い勝手を悪くしたり、せっかく安定し進化しつつあるシステムに更なる不安定要因を与えたりしないよう慎重な対応が必要だろう。「追証制度型」と現在ある「自動ロスカット方式」はプログラム上ANDでは結合できないと思うのである。

要するに、できれば両者をひとつの表現で規制するのではなく、「追証制度型」を採用する場合と「自動ロスカット方式」を採用する場合で、それぞれ別々に合理的でわかりやすい規制条件を文面化してはもらえなかっただろうか、というのが私の遅ればせながらの主張である。こうしたケースバイケースの具体性を持った規制というのは、金商法の市場リスクの計算のところで、簡便法やデルタプラス法など、“OR”の前提で、きわめて丁寧に規定されているのだから、こういうことが出来ないわけではないし、したことがないわけではないのである。

■主な業者の自動化された強制ロスカットは口座単位なのだが(パブコメ51)

 BOE方式はダメという話であるが、回答に「同時に決済できるとは限りませんので」ダメと言っている。そもそもシステム化された自動ロスカットは、口座に対して発動するもので、一部のポジションだけを切りに行くものではない。電話でやる業者はそれができるがシステムで判断する場合はつねにロスカット=口座内のすべてのポジション、である。それをして「同時に決済できるとは限りませんので」というのはおかしい。逆に「個々のポジションを個別に切れない」のである。通貨ペアが違えば複数のポジションになるが、ドル円だけでも複数のポジションは存在するわけで、前者に対する同時に決済できるかどうかわからないというリスクをいうなら後者においても同様である。システム上の負荷は変わらない。これは明らかに業者の運用の前提が理解されていない(もしくはあえて考慮しない)回答ではないだろうか。上項と同じ問題である。両建てポジションに対する証拠金でMax方式を容認する限り、同一通貨ペアのロングショートの“ネッティング”を認めているわけで、であれば、BOE方式を否定する根拠は消えるのだが、逆に消えていない根拠が説明されていない。ちなみに日本で金融庁はBOE方式採用の本家である。これを認めたからといって、大勢になんら影響もないのだが。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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