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FXダイアリー

自己資本規制比率だけで本当に有効か

2011年03月29日(火)

 かねがね思うことだが、果たしてこの業界、証券と同じ自己資本規制比率によるコントロールで十全なのだろうか。そもそもBISのリスク資産の計算方法を踏襲し、証取法に取り込まれたものがそのまま金先法でも使われ、金商法として生き残っている。FX業界も規模が大きくなるにつれ、パーセンテージではなくて、その会社の営業規模に応じて自己資本の額で規制する方が現実的でより整合性がとれているのではないだろうか。そういう疑問を持っている。

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業者が毎日計算し月次で報告する市場リスク額も見かけだけのものであり、実際に日中に発生するリスクは月末の手心が加えられたポジション(ほとんどゼロ)からでは推測は不可能である。月に30万本やろうが3万本やろうが、日締めや月末のポジションをゼロにすることは簡単にできるし、当然そうするだろう。しかし現実を見てみよう。1秒未満の単位ですさまじく変化し、カバーのロジックも各社まちまちで、上位の業者には業界全体の50%近い取引高が集まる状態で、なおかつその総額は世界的にみてダントツではないかと思われるような取引量に対して、一日一回その業者のネットポジションを把握してリスク額を計算し、月末のそれを報告するという程度のモニタリングでどれほどのリスクを“監視”できるものなのだろうか。いや、これは監視の問題ではなく、リスク担保の問題として、である。そういうカバーを前提とする限りなくブローカーに近い業態で、かつすさまじい取引量をこなす業態の場合、市場リスクよりもシステムリスクのほうが“はるかに”重要な監視ポイントになる。つまり、ネットポジションよりも顧客からの「総取引高」に目を向ける方がリスクのネイチャーに対する感応度はより高いのではないだろうかという話である。

ネットポジションで見るというのはもともと銀行や大手証券の債券ポジションのように、外したくても外せないポジションが中長期の期限をもって多くブック上に存在するような性質を前提にしてはいまいか。こういう業態の場合、為替のスポットなどリスク額としてはたいしたものではなく、それよりも金利リスクのイクスポージャのほうがはるかにPLに影響を与える。

一方、リテールFX業界のように為替しか、それもスポットしかやっていないし、そのほとんどのポジションは適宜カバーされている業者において、そのネットポジションを1日一回追いかけてどういうリスクが捕捉できるというのだろう。それよりも、取引高が増えれば増えるほど、そのシステムが故障したときに発生する市場リスク、つまり、顧客の取引があとづけで生まれるために被る損失、あるいはカバーだけがうまくできなくなるためにゆがみだすネットポジション、すなわちシステムリスクが顕在するときに発生する市場リスクの話である。

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システムが故障するリスクを私はここでシステムリスクと呼んでいるのではなく、システムが故障することで発生する市場リスクのことを言っている(この視点は前々回のコラムで触れている市場の高速性、緻密性につながる話である)。これは、ネットポジションを一日一回計算して云々という形で捕捉できるリスクではない。一日に10本しかしない小さい業者が日締めでカバーしないために市場リスク額がその10本に対して計算されるという業者と、大手で一日に1万本の取引とカバーをこなすが、日締めできっちりスクエアにしてネットポジションがでないのでリスク額がほぼゼロになる業者とを比較したとき、見た目前者のほうが市場リスクは高いとなるが、実は高速回転している後者のほうが、システムが制御不能になったときに一気に(爆発的にと言ってもいい)現れる市場リスクが比べ物にならないぐらい高い。さらに、現在信託保全はほとんどT+2である。限りなく顧客資産を100%保全したくても、計算日の数字=保全額とはならない。2日分の市場リスクを抱えている。最大2日分の変動リスクを信託も負っている。

これらを考えると、リテールFX業者は、従来の自己資本規制比率による規制ではなくて、むしろ、顧客の取引高xn%の額を自己資本として確保することを義務付ける方が理にかなっているのではないか。そしてできればその額を信託に振りかえ、保全することで、上記のリスクバッファーとしての機能を持たせるのである。自己資本規制比率そのものは今までどおりの運用で構わないとして(証券会社もいるので)、追加でこの方法を取り入れて、より巨大化する業者はより多くの自己資本が要求されるハードルを設けるのは、やらないよりやったほうがいいのではないかという私の意見である。無論業者側からすればうれしくない話であるが、投資家目線に立てば、結構“いかした”案だとひとりで勝手に思っているのだが、いかがだろうか。

【追記】
上記の原稿を書いたのは今回の地震の前である。地震後の株式市場の大暴落、為替の歴史的円高(高値更新)そして協調介入による激しく荒れた市場とその業者、業界への影響を見るにつけ、今回の私の主張にはより自信を持つにいたる結果が表れてきているように思う。



Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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