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バイナリーオプションのヘッジロジック

2012年10月01日(月)

1.スポットでのダイナミックヘッジはできない

まずはダイナミックヘッジを、例を挙げてできる限りわかりやすく考えてみよう。

期間は10分。スタート時点において、ハイにかけた顧客の総額が50万円。ローにかけたのが100万円。スタートのスポットが78円ちょうどとする。業者が何もしない場合、ハイで終わると、業者は50万円が儲かる。ローで終わると50万円損になる。どっちもなし(親の総取り)はないものとする。期間中、実際の観察タイミングを便宜上(話を簡単にするため)2分後とし、ヘッジ判断のタイミングを5回とする。

まず、事象を分ける。ハイで終わると業者は儲かるので、ハイのレンジに相場がいるときは何もしないとする。逆にローのときは50万円分をヘッジで稼がなくてはならないので、何かしらのアクションが必要であると考えてみる。以下、ローのケースで考える。

i)観察期間T1:ドル円が77.80

この状態からヘッジを考える。さらにここから相場が下がるかどうかは関係がない。前提としてこのままローの状態で期限を迎えるという前提立つ。そうなると、相場が円安になろうと円高になろうとスポットヘッジを行うことになる。ならばその想定元本はいくらと計算するべきか。仮に、この先期限までの間に、相場が円高方向に1円動くと想定すると、50万ドルドル売りをすればカバーできることになる。ならば10銭しか動かないとすると、500万ドル売らなくてはならい。さらに1銭しか動かないとすると5千万ドル売らなくてはならない。では、まったく動かないとすると、想定元本の計算は「不能」となる。

動かないという例が非現実的であると譲ったとしても、この瞬間から相場が上に動くのか下に動くのかが分からないのでそもそもヘッジの取引判断ができない。とりあえず観察期間T0から円高だったのでドル売りとして、想定元本は、10銭動くとして、500万ドル売ったとする。

ii)観察期間T2:ドル円が77.60

上記i)の判断が功を奏して20銭円高となり、500万ドル×20銭=100万円の利益が出たので、これでヘッジをやめるとすると、差っ引き50万円の益で期限を迎えることができる。さらにヘッジ活動を続けるかどうかは経営判断となる。そうなるともうハイローのビジネスとしてのヘッジ活動ではなく単に自己勘定での相場を張っているのと何も変わらない。

これ以上、例を進める意味はないと思う。お分かりのように、一般的な通貨オプションのダイナミックヘッジのようなオペレーションはできないことはこの程度の例で十分わかっていただけると思う。専門的な言い方をすればネガティブガンマが計測不能な状態のポジションを業者は抱えることになるのである。その結果、導かれる一番いいヘッジ戦略は「一切スポットによるダイナミックヘッジ行為を行わない」となる。悪あがきをすると傷口が開くよ、と言っているのに似ている。

ハイのレンジにいる状態であってもそこからまた円高が始まると考えると、円高方向に動き出すとスポットを売らなくてはならない衝動に駆られる。あるいは78円ちょうどまでは我慢して何もしないとすると切った瞬間から売ることになるがそこからは上記の説明と同じで想定元本が決定できない。

2.1)法的側面:呑み行為の禁止

ならばノーヘッジだ、となると「呑み行為の禁止」という金商法上の法令を気にしなくてはならない。呑み行為というのは顧客の掛け金を総取りしてその中から配当を支払い、外部の同様もしくは原資産市場でのヘッジ行為を一切行わない状態を指すと考える。一回ごとの「場」を見たとき、結果的に業者が儲かるか損するかはわからないが、なにがしかの(金融理論的に)相関性のある外部の市場において一切のヘッジ行為を行わない以上呑み行為と判断されても仕方がないと思われる。誤解のないようにもうすこし突っ込んでいうが、ヘッジ行為を行わないことがその時の判断として最良のヘッジ判断であるということを考慮すると、年間を通してそういうノーヘッジのケースがあるのは認められるとしても、実体として一切のヘッジ事実またはその意思がなく、ヘッジをする相手も手法も判断基準も会社として定義されていない場合は、事実上呑行為を前提としたビジネスであると認識するのが常識的ではないかと思う。

2.2)法的側面:市場リスク額の計算

法令上、オプションの場合は、ガンマ(デルタ値)とベガ(ショート)については計算して市場リスクに加算しなくてはならない。日をまたがないから不要とする考えは当たらない。日締めの市場リスク額を記録する義務しかないがだからといって日中のそれを補足することを不要であるとは言っていない。ならばどうやってガンマやベガを計算するのか。あるいはそれ以外の内部モデル方式を考えて提出するのか。それは当局が認められるようなものになるのか。現在この商品を提供する業者はこの部分どう対応しているのか、私は残念ながら知らない。

3)同様のスペックを提供する外部業者でヘッジする

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ならばヘッジをしましょうとなると、一番安全で間違いのないヘッジ手法は、「同じスペックで相手をしてくれる外部業者でヘッジする」ということである。たとえば海外のオプション専業の業者で英国でのマーケットメイカーの資格を持つような経営のまともな業者を相手にまったく同じか相関性の強い商品市場でヘッジするのであれば、まともなヘッジといえる。

ではそのヘッジ先業者自身はどうかという疑問がわいてくるがいったん国外に相手が出てしまえば金商法の適応外であり、そのヘッジ業者がどうであろうと原則法的考慮の対象にはならない。あとは当該業者の与信管理能力の問題となる。

指定金融機関でもなく格付けもない相手であれば取引先リスクは預けたお金の25%であるが、日々決済代金だけをやり取りすれば0x25%=0である。この商品スペックの場合「宵越しの金」は預けないので取引先リスク相当額ゼロを実現できそうである。

4)収益率

上記3)をやったばあい、親の総取りみたいな事象をセットし、かつそれが実現している確率が数パーセント等あるような商品スペックの場合たぶんその収益率は大幅に低下するように見えるが、そうでない場合は、年間を通しての勝ち負けを合計するとそんなに大差はないかもしれない。あとは当該業者とヘッジ業者間での手数料の話し合いの問題になる。

5)仕様上のコンプライアンス的問題点

唯一の問題と考えるのは勝ち負けの基準となるいわゆる「清算価格」に相当するレートを、場を提供している業者自身が決めるという点である。むろん仕組み的には一切の「手」を加えずに傍らで提供している外為取引のプラットフォームから単純にとってくるからニュートラルだと主張するのだろうが、親の総取り的なゾーンを設けない場合0.1ピップどっちに傾くかで益か損かがひっくりかえる状態のサービスを提供する業者がその清算価格を決めるのは立場的に心地いいものではない。できうるならば第三者で公共性の高い業者が提供するレートを参照する設計するほうが公明性とか公正性の観点からより好ましいといえる。

5)国益の流出

この考えを頭から排除できないので一応言及するが、上記3)の方法において外部とは実質海外となる。そうなると臭いものは外へ的な発想に思えてならない。本来そのモノが入っている袋には本来国益として国内で実現するはずの利益がある。みすみす海外の業者にそれを持って行かれるのは残念である。できるなら日本国内ですべてが完結する仕組みがほしいものである。

6)リスクの平準化

ヘッジがしにくい商品の「親」になる場合その参加者が多ければ多いほど収益性に安定をもたらす。参加者が多いとそれぞれの事象へのベットの傾きが緩和する。また、期間を短くして頻度を高めることにより結果の正規分布化の効果はより高くなるので、その意味でこのバイナリーが短期、超短期化するのはリスクの平準化という観点からはうなずけるものがある。

複数のバイナリー業者がほぼ同じスペックで提供する場合、それぞれの業者においてハイとローのベット額が逆になっている場合、業者から見れば互いが最高のヘッジ相手になってくる。そう考えると、まだまだ現実性は薄いかもしれないが、バイナリーの業者間のECN化はリスクの平準化という観点からもう少し考える価値があるように思う。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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