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バイナリーオプション〜私の論点整理

2012年10月21日(日)

前回前々回とバイナリーオプションについて触れてきた。協会でも業者を集めた部会が開かれ今後、業界全体としてどういう形が金融商品として望ましいかを議論していくようである。今後の流れに注目したい。過去2回の自分の原稿を読み返し、論点が弱いと感じる部分があったので、その後いろいろなケースを勉強した結果として、いまのところ以下のように“私の意見としての”論点整理をしておきたい。

■市場性

100円かけたら200円になるというモデルは、現在の日本の業者が提供するバイナリーオプションが金融商品であるかどうかの最大の論点だと考える。本来金融商品には『市場』が存在する。いかなる商品も買いたい、売りたいという思惑が『市場』を形成する。その未来への思惑は現在原資産市場(スポットマーケット)で起きていることを反映して「市場価格」を変動させていく。そういう仕組みがなくてはいけない。でなければ金融『市場』とは言えない。マーケットメイカー制であったとしてもそのマーケットメイカー自体がそうした思惑をちゃんと反映した動きをすることが前提となる。しかし、現在提供されるモデルの多くはそういう機能がない。これではベッティングであると定義されても仕方がない。日本にベッティングを許容する法律はない。

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このハイロー商品が、金融商品として成立するために必要な市場のモデルとはどういうものか。それは、ハイ側とロー側でそれぞれビッドとアスクが存在し(まさに市場が立つということ)、基本顧客は買いしかできないとしても、観察期間が始まるまでなら買った後決済売りができること(途中決済)。カラ売りも可能とさせるなら、ペイアウト額が証拠金にあることを前提とする限り売らせてあげても構わないだろう。その市場を参加者のみに任せてやると流動性が十分出来上がらないだろうから、マーケットメイカー(この場合は業者自身)がツーウェイを出して、それしか叩けないようにするマーケットメイカー方式にするか、あるいはその中に顧客の注文が入るようにするオークション方式かのどちらかが考えられる。その点、同じ「バイナリー」という言葉を使っているが、IGマーケットやサクソバンクのそれはいわゆる正当な金融商品としてのバイナリーオプションだといえると思う。親(業者)がオッズをワンプライスで提示してかつそのプライスも募集期間中一切変動せず、客はそれを買うのみで、いったん買うと途中決済もできないというのは、残念ながらベッティングにしかみえない。

■期間は議論の対象外

期間についての議論が結構熱いことがあるが、今まで言及してきたとおり、直接的な論点にはなりえないのではないだろうか。上記の議論のポイントが正しく反映されればおのずと時間的限界点は出てくるはずである。そういう意味でNADEXは2時間であり、上記の一海外業者は6時間なのではないかと思う。

■清算価格

さらに、清算価格は、前回でもふれたとおり、第3者の配信レートに依存するほうがより信頼できるし、今欧米でも(むろん日本でも)こういう『透明性』や『公正性』をいかに担保するかが大きく議論されていることに配慮したい。

■事象の区分

ハイローのモデルの場合、通常のワンタッチやレンジオプション等に比べて、ハイとロー以外に、ニュートラルの事象が成立しうる。これは清算価格の計算方法がクリアに開示されるという前提において、その事象は一点のみとなり、“幅”では定義されない。つまり、スタート価格(=スポットプライス)がビッドとアスクの平均として78.55だったとき、清算価格(ストライクプライス)がニュートラル条件として78.545以上、78.555未満はニュートラルである、というような条件設定は腑に落ちない。計算結果としての清算価格がぴったり78.55のときだけ、“取引不成立”とし払い戻すのが本来ならフェアな結果である。ただし、ハイとローのプレミアムにすでにその分の期待値分が加味されているという理屈が成り立つならそれもありなのだろう。

■他のバイナリー商品とのバランス

そもそもインターバンクで流通するバイナリーオプションからすれば、このハイローモデルはバイナリーではあるけれど、構造上オプションとは呼べないと思う。外国のバイナリー市場等との比較論があちこちで聞かれるが、そもそもそういうものと日本のハイローと呼ぶバイナリーは名前が同じでもまったく次元の違う商品である。そういうことを上段で、私は説明しているつもりである。なので、それらを同類のものとして比較する議論に対してはかなり躊躇を感じる。

■課題

この業界の“健全な”発展を前提とするかぎり、いくら個人市場にわかりやすいモデルにすることが大切とはいえ、あまりに金融(派生)商品としての論理性、他市場との整合性、合理性を欠いた商品というものを出してゆくのもいかがなものだろうかと思う。

■ベッティングとの比較

誤解のないように付け加えるが、私はこのハイローモデルを否定するつもりはない。そこに需要があるなら存在意義はあるのだろう。ただし、ハイローモデルは通常金融機関が意味するバイナリーオプションとは本質的に違うものであり、これをバイナリーオプションと呼ぶよりは、まさにハイロー何とか、と呼ぶ方がいいと考える。本音を言うと、ハイローベッティングと呼ぶ方が実態を正確に表していると(少なくとも今は)考えている。ならばこれを機に、日本でもベッティングを認めるか、という議論が始まればそれはそれで災い転じて何とやらである。残念ながら海外でこうしたベッティング商品を、クレジットカードを使ってやっている人は相当数いると思われる。結局国内で禁止しても彼らのそういう動きを止めることはできない。この部分のダークな資本収支は常識的に考えて赤字であろう。日本の規制緩和は米国的ではなくて欧州的に私には見える。米国でいまだ禁止されているCFDも欧州と日本は解禁している。流れ的には日本でもベッティングを金融とは別の規制概念をもって緩和してゆくということがおかしいとは思わない。ただそれが日本の未来にとっていいことか悪いことかの判断がつかない。

たぶん、「いやこれはまっとうな金融商品である。お前の言うことは間違っている」という意見をお持ちの方もおられるかと思うが、以上はあくまでも私の個人的な意見である。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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