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FXダイアリー

スプレッド競争の限界

2013年08月13日(火)

 リスクを極力とらずに適宜CPにカバーし続けるいわゆるリサイクラーと呼ばれるFX業者にとって、客に出すスプレッドとCPからもらうスプレッドの利益に対する関係性は高い。仕入れ値と小売値の差は取引件数が増えれば増えるほど影響を与えその収益に対する相関性は高くなる。すこしでも小売価格が卸価格より狭く(安く)なると収益は悪化するだろうし、マリーしたところで、常に客側が損切りするばかりでもない。むしろ0.2や0.3のスプレッドなら、投資家は大きく利幅を追いかけない限り彼らの利益を出す確率は高くなる。一部業界ではマリーすると儲かると短絡的な印象があるようだが、今の狭いスプレッドベースでそれは保証されない。マリーが確実にもたらすものは、サーバーリソースを効率化したり、CP側でのレコンサイル業務を減らしたりと、量的業務を軽減する効果ぐらいである。また、最近はシステムに明るい投資家が取引システムの脆弱性に付け込んだりして業者側が想定していないような取引を打ち込んでくるケースもある。一方でインターバンク側のCPにすれば、相場の動きにやられたりすればスプレッドを広げ始めるだろうし、一部の業者からくるタマが不可解だったり、気持ち悪かったりすればプライスを逃がすこともある。

 さらにもう一方でシステムリスクを軽減するためのコストは上昇基調をたどる。あらたな規制への対応、システム監査対応など、かつてはあいまいだったこの手のリスク管理が明確化されるにつれ人件費も含めたシステムコストは上がりこそすれ下がることはない。

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 今CPからの加重平均的なスプレッドが0.2で、ある業者が0.3を出していた時に、それでは耐えられないということで0.4にしたらどれくらい利益にインパクトがあるかといえば、1取引(新規・決済関係なく)あたり(0.3−0.2)÷2=0.05に対して、(0.4−0.2)÷2=0.1となり、計算上は収益が倍になる。しかし実際には、スプレッドを広げる理由の一つにCPからのスプレッドが広がったという原因も考えられるので、むしろ0.1広げることで下がった収益を元に戻す程度の効果にしかならないかもしれない。

 さらにどんどん高度化するHFTタイプの取引、俗にスキャルピングと呼ばれる手法を多用する投資家も増えた。スプレッドが狭くなるにつれこの手の手法は効果を増す。そのためそういう客が増えるのもいたしかたないというか、そうさせたのは業者側とか市場側がそういう環境を与えたからに他ならない。

 インターバンクのプレイヤーでも儲けやすい相場とそうでない相場、あるいはくみしやすい客とそうでない客がある。そしてそれらは時間とともに変化する。いじらずに済むパラメータなど一つもない。そういう目線で見て、インターバンクプレイヤーにとっては日本のFX業者というのは、少なくとも上位10社ぐらいを対象として見れば扱いにくいのではないかと私は思う。なぜなら彼らは大方ダークプールであり、動きが読みづらいからである。

 わかりやすい例を挙げれば、今あなたが5万ドルだけ買いたい、このタイミングではそれで終わりですと言えれば相手は安心して今のレベルで売ってくれるかもしれないが、そこで今は50万ドルだけど、実はまだその100倍ぐらいを今からの1分ぐらいで買おうと思っていると言った瞬間、相手は5000万ドル買ってくることを想定したレートにチェンジする。そういうことを何も言わないで買いに行けば、どっちでくるかわからないからとりあえず“すこし”引いた値段で出そうという気持ちになるということである。

 こうした動きは日本のリテールだけで起きていることではなくて、今までにも軽く触れたかもしれないが、インターバンクのプレイヤーが10分の1クォートをやめてハーフクォートに変えるとか、HFTに対して課税するとか、一回の注文から次までに500ミリ秒間をあけさせるとか、いろいろなアイデアが出ている。目的としては過度な競争を抑制するということと、その先にある原因を突き止められないような市場の暴走(フラッシュクラッシュのように)を未然に防ぐという大義もある。約定処理スピードを上げる努力は必要だが、発注スピードをそれと同等まで上げてゆくという努力はほどほどにしないといけないということだろうか。

 100万ドルを0.2ピップでクォートするということは、スプレッドコストが100万ドル当たり2千円という意味である。むろん、常に2000円儲かるという意味ではない。逆に言えば、サービス全体に係るコストがこの単価(チケットコスト)を超えてはいけないという意味では使える数字(考え方)である。現在、それがきつくなってきているのではないだろうかというのが、私の推測である。

 顧客の満足度を維持しながらスプレッドをコントロールし、利益を確保するのは容易ではない。そのための鉄板の仕組みというのもない。だからこそ知恵を絞る余地のある部分でもある。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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