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ポストガイドラインのハイローバイナリー

2013年10月08日(火)

12月のガイドライン施行期限に向けてハイローの商品仕様が変化しつつある。ハイローについては何かと懐疑的なことしか言わない私だが、あくまでも業界の健全性と透明性、公正性にてらして、できる限りニュートラルな見地からの見解としてご理解いただければ幸いである。

■プライシング・リスク分析モデル

ハイローバイナリーはインターバンクでいうデジタルオプションであり、ハイローのスタイルは満期時点の相場だけを見て判断するのでヨーロピアンである。インターバンクのプロに聞いてみるとリスクモデルの構築に相当コストがかかるわりに市場が小さすぎるのでやらないというところもある。論理的にも、経済合理的にも尺に合わないのである。しかし、計算モデル等はガイドライン上、「開示要件」であると思っている。どういうモデルが出てくるのか期待して待っている。

ついでに言うが、法定要件である市場リスクの計算モデルはどうなるのかを考慮に入れておかなくてはならない。デルタプラス法で対応できるのか、モンテカルロでやるのか(VaR)。ストレートにヘッジできない以上ガンマやベガが発生するはずなので、それらを計算して出せないと市場リスク額が計算できなくなる。

■ヘッジロジック

画像(182x350)・拡大画像(230x440)

仮に業者がインターバンクでこのハイローのヘッジを行う場合、どういうアプローチがあるかというと、通常(たとえば満期1か月で)この手のデジタルのヘッジは、コールスプレッド、プットスプレッドを使う。たとえば、以下のようなスプレッド取引をしたとすると合成損益曲線はその下のグラフのようになる。

グラフの緑の合成線が大事なのだが、例はストライクの差を10銭でやっているため斜めに曲がる部分が、結構“ななめ”である。この差を縮めるとその分線が直立しだす。

理論的には、限界まで近づければ線が直立することになるがその代りプレミアムの差が減っていくのでスプレッド価格差が減り、直立の高さがどんどん低くなる。

ハイローのストライクが98.90なので、それより下で終わった時、客に払う分がこのプレミアム差額で賄えるようにスプレッドの倍率(想定元本)を調整することになる。

画像(596x411)

言うのは簡単だが、まずもって2時間もののバニラオプションを、1万ドル単位でクォートする銀行はいない。仮にいたとしても、期間中に転売とかされてしまうと毎回客の売り買い毎にヘッジを調整して売り買いのスプレッドで損してしまうのは明らか。つまり理論上近似値でのヘッジは可能だが現実的に満期2時間で1万ドル単位でのヘッジは不可能ということになる。

■投資家が資産ヘッジとして活用する

ガイドラインには書かれているものの現実論として、一般投資家がそれを資産ヘッジ目的で利用するという仮説は私には詭弁に聞こえてしまう。具体的にこういう目的でヘッジに使うというケースがあれば知りたいところである。絶対ないと断言しないが、極端にまれすぎてガイドラインの条件としてはそぐわないのではないだろうかと思っている。

■権利行使と消滅の判断基準

インターバンクではそのレートがついたかついてないかの判断はアメリカンタイプのワンタッチオプションおいて重要で、それはインターバンク市場で観察されている。ついたついてないは「取引」ベースであり、ビッドアスクの「気配」ベースではない。一方この業界においてはこの観察対象を「市場全体の取引実績」に持っていくことができないので自社の配信した実績気配を用いるしかない。その気配は判定権限を持つ業者の気配値である。この点の公正性は脆弱である。

■特殊なケース

判定レートがストライクと同じだった場合の振る舞いはどうだろう。ハイもローも権利行使とするのか、両方とも消滅とするのか。投資家への事前開示と合意があればどっちでもありといえばありであるが、その微妙な点がちゃんと説明されているかどうかである。一部の業者の説明のことばにゆらぎがみられイコールのときがどっちかわかりづらいことがある。

一方、その場合ハイだけ権利行使でローは消滅というルールも新たに出てきたが、これも説明が事前にされていればあとは投資家判断である。しかし理論的には、というかそれをカバーやヘッジしてリスクをコントロールする業者のディーリングブック上で起きることを想像するにつけ、一体どういうリスクモデルを使っているのか。そのような恣意的な振り分けがモデルに与える影響は考慮されているのか、好奇心として気になる部分である。

■開示

協会のガイドラインとしていかなるモデルを利用して商品設計をしているかを開示しなくてはならないはずだが、一体みんなどういうモデルを使っているのか、興味は尽きない。インターバンク市場で2時間のIVは実質的に存在しない。となるとヒストリカルだけで対応するのだろう。仮にインターバンクの銀行がクォートできるとしてもやはり24時間はないとむりじゃないのかと思う。

2007年に The University of Buckingham Pressが出版したFINANCIAL BINARY BETTING, STYLES,VALUATIONS AND DEDUCTIONS FROM DATAという本を取り寄せて読んだ。私は数学が得意ではないのでたいしたことは言えないが、中で展開される解説、数式を見るにつけおよそブラックショールズには触れていない感じがする。タイトルはFinancial Binary Bettingになっているが、中で語られる仕様はこのハイローと同じである。

■CP

スポットでCPに名を連ねるほとんどの銀行はこの手のオプションを扱わないだろうが、仮にこの市場が今の1000倍とかになって市場規模として見過ごせなくなると対応を考え始めるかもしれない。一方、欧州系のオプションハウスは扱っている。なぜ彼らは扱うことができるのか。それはFinancial Bettingの胴元としてオペレーションし、その結果が割に合うからであって、かれら自身が別のカバー先を持っているわけではないと推察する。それはスポットがある程度動いても常にペイアウト率が80%〜90%からほとんど動かないとかの事象からも推察することができる。欧州で展開する業者の説明を読むとこれはFinancial Betting であるとはっきり書いているところも見たことがある。この商品についての私のフラストレーションは、中身の議論が不完全だということに尽きる。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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