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最近の動き−急な円安と取引高増加

2014年11月07日(金)

過去にもこうした急激な円安を経験したことはある。一番印象にあるのは、1990年代とかなり古いが、米国のヘッジファンドの鼻息が荒い時代、ジョージソロスやLTCMがひたすらドル円のドルコールオプションを日本時間の日中に買い捲るのを目の当たりにしている(実際にそういう取引の仲介をやっていた)。為替がどんどん円安に行き、140円台まで円安は進み、その後はご存知の通りの崩壊が起きた。今はリーマンショックの遺体経験から無謀なレバレッジをかけるファンドもいないだろうからLTCMの二の舞をするような輩はいないと思うので崩壊はないと思うが、この先どうなるかは予測がつかない。

今の円安は米国の景気回復基調と日本の泥沼化する景気動向に対するカンフル剤に反応して、円売りドル買いが進んでいる。個人的には、年金問題、国の一千兆円を超す負債残高、実質的な増税による可処分所得減少に追い打ちをかけるような円安による消費者物価の上昇等、どれを見ても経済的、金融的日本の将来は混とんとしていて、出口が見えない。

安倍さんを援護射撃するかのように日銀は、5対4という僅差で10兆円の追加緩和に動いた。9人の民主的投票で、日本の将来が大きく左右される決定が行われるのは、きれいな民主主義としてはいいと思うが、はたして決めているテーマ自体、多数決になじんでいるのだろうかって考えた方がいいんじゃないかと思うこともある。ともかくも、かくして日本の円は市場にこれでもかというぐらいにじゃぶじゃぶにあふれかえる(かといってわれわれ下々に無対価でくれるわけではない)。唯一これを可能たらしめるのが、債権者の多くが日本人であるということか。たとえれば、貸すほうも借りる方も同族であるという点のみが、ドイツをはじめとする欧州から借金したギリシャとは違う点で、ディフォルトにならない唯一のよりどころである。しかし海外の他人から見れば、それはそれで危うい財政金融政策をとっているようにも見える。崩れ始めれば1千兆円の圧力は留めようもないだろう。そんなことは誰でもわかっている。少なくとも頭のいい人なら十分気づいている。ほおっておけばいつかこのダムは決壊する。まして人口減少の追い打ちである。新たな産業革命みたいなことが起きないとどうにもならないと思ってしまう。

ちょっと、政治側にかたよってしまったので、元に戻す。

円安株高のどちらも、資産を持つ者にはその恩恵がやってくる。たとえ手元の可処分所得が減っても、資産価値が上がれば購買意欲はわいてくる。証券業界も潤う。結果的に給料やボーナスが上がれば彼らはいいだろう。しかしそれら金融セクターからの恩恵が他の産業部門に従事する人々へ還元されていくまでには相当な時間がかかるだろうし、そもそもそこまでたどり着くかどうかも分からない。円安の恩恵を受けるセクターはいいとしても、それだけが日本の産業ではないし。

さて、個人投資家として身を守る方法は、税金が増えて可処分所得が減っていく分をどうやって穴埋めするかになってくる。わずかな資金でもいいから利殖をと思うのは普通の感覚で、そういう人のためにレバレッジ商品というのがある気もする。110円でドルを買っている人は今や約5円の含み益が出ている。利回りで4.5%である。たったの3か月でである。年利にすると18%ということになる。レバ2倍なら36%になる。とにかく今は、レバレッジ2倍程度のマイルドなリスクで、株のロング、円のショート(ドルのロング)をするしかほかにないか。110円台を逃した、あるいは113円台とかで売って決済してしまったという方、「今から買い直せるか?115円だぞ?」と考えてしまう。ごもっともである。冒頭のLTCMの時もそうだった。125円を超えて上がっているとき、今から買えるか?と思ったが、結局そのまんま145円まで行ってしまった。今回はどこまで上がるのだろう。目先、政府が10%増税をや〜めたというかどうか(その可能性はかなり低いが)。GPIFは株を買う比率を上げるのか。アメリカの中間選挙後の動きは大きな影響があるか。それと米失業率等の数字が安定的に改善していくのか。個人的に、日本の景気には期待していない。たとえ景気が回復しても重税感、増税感のほうが強くなる。少なくともそっちが先に来る。

話は変わるが、こうした一方的な円安になると、レートを供給するインターバンクはつらいと思う。何せ7年ぶりの水準とか言われているが、それはつまりその辺の水準にコストを持つポジションがまずないということを意味する。レートを自前で作りリスクをとる側からすればひたすらドル円のショートはたまっていく。ためたくないし、ためないとなるとそれは損切となる可能性が非常に高い。昔だったらもっとつらかっただろうが、今は投資家の生み出す取引高の多くが日ばかり、スキャルパー、デイトレーダーと呼ばれるようなHFTである。つまり、売りも買いもする人たちが大勢いるので、それらを受ける側取引量の割にはかなりリスクが低減していると推測できる。それでもロングの量は絶対値的に増えているだろうから、その分彼らはつらい思いをする。インターバンクのドル円のスプレッドも最近はちょっとワイド気味になっている。そんな中、相変わらずスプレッドをドル円で0.3固定とうたい続ける業者は、ご立派。それでもある程度利益が確保できるとしたらそれはやはり上述のHFTがいっぱいいてくれるからに他ならない。HFT、日ばかり、デイトレーダー様様である。一方ではそうしたHFTの中に、業者が想定しない方法で発注してくる輩が目立ってきており、どこも頭を痛めている。これも今後のテーマになる。

通貨オプションのマーケットもたぶん年末にかけての上のストライク(ドルコール)が結構活発に買われいるのだろうなと推察する。それがまた、スポットのドル買いを誘発する。

新たな業界の動きとして、FXCMがマークアップをやめた。これはクリック365と真逆の動きである。FXCMは周知のとおり米国のFX業者であり、基本的なシステムのロジックは米国の規制にのっとった形で変化、進化している。米国はドッドフランク法の下、透明性重視であり、それにもとづいてSEF、CCP化、ECN化が進んでいる。簡単に言えば、FX業者は取次業務しかさせないよ、と言っている。リスクを取ったらだめよと言っている。今回のレート提示の変更によって、FXCMのレートスプレッドを見ればインターバンクがどれくらいのスプレッドで出しているかをモニタリングすることができる。最近はドル円が0.2〜0.4ぐらいで動いているのをみるにつけ、日本の他の業者で0.3固定で出している業者は大変だろうなと思う。仕入コストのまんま小売しているようなものである。ファンド的な言い方をすればベータ収益はほぼゼロで、アルファだけに頼っている。どこまで耐えられるだろうか。

くりっく365はこれに逆行して手数料を無料にする代わりに、マークアップをしている。取引所としてマークアップできないのでCPの配信レートにそれが乗っかっている。いまや取引所もOTC化しているという印象が強くなった。取引所としての個性は、集中決済側だけになりつつある。

これらのモデルはいろいろだろうが、投資家から見れば、スプレッドが0.3か0.6かにこだわるスキャルパーにとっては大事な問題であり、そうでない人にとってはあまり問題ではない。くりっく365のこの変更はマーケティング的にはあまりインパクトはなさそうに思っていたが実際どうなのだろう。それを見極めようにも最近のボラの上昇のおかげで取引高は増えているだろうからどっちの効果かは色分けしづらい。

今日の話は、これといって何の結論も主張もない、戯言に終わってしまったがご容赦。




Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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