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FXダイアリー

『楽天証券がFXCM香港まで買収』にかんがみ

2015年05月24日(日)

米国の関連サイトによると現在のFXCM香港の価値は25〜30百万ドル(30億円〜36億円)だそうである。最近の取引高上位を見ると、GMOクリック証券(以下GMO)、DMM.com証券(以下DMM)、YJFX、楽天証券(取引高非公開につき推測)、そして復活してきた外為どっとコムといった名前が目立ち、彼らの最大の共通点は、(外為どっとコムだけ親会社は仏系金融ブローカーであり、他とは大きく異なるものの)外為証拠金取引が本業ではないということである。そして彼らは本業で得た資本力を使って負け組の外為証拠金取引業者を買収したり、あるいは資本を増強してIEモデルを強化したり、FXシステムを自社開発化したりと積極的な活動を行っている。大体営業利益ベースで年間40億円から多いときで80億円ぐらいを生み出す規模になってきている。このスーパーナロースプレッドを提供しながらその額を生み出しているのはご立派としか言いようがない。こういう現象というか効果はリテールビジネスの真骨頂でもある。論理モデルとして仮にCPからのスプレッドが0.3の時に対顧で同じ0.3を出せばふつうなら利益は0になるが、そこから0.1か0.08の利益(限界利益)を生み出すということは容易に可能であることを証明している。それがリテールビジネスの真骨頂というポイントである。EEモデルになってしまうとそういうマジックができなくなるが、幸い日本の当局も協会もそれを強制してはいない。

こうしたネット系の親企業をもたず、外為証拠金取引業のみで頑張っている業者にとってこうした大資本が蟒蛇(うわばみ)のように市場を食っていく姿を見るのは気持ちのいいものではない。外為証拠金取引は金融取引サービスだが、どんどんとリテール化され、消費財のごとく扱われだしている。ほとんどコンビニで商品を買うのと同じくらい、あるいはネット通販で物を買うのと同じくらい大衆化してきた。ここが日本と欧米の大きな違いに見える。欧米の業者でキャンペーンで肉や餃子やレトルト食品を提供する業者はいない。最近やっとキャッシュバックをするようになってきたぐらいである。ゆるキャラもなければ、有名タレントを起用したCMもない。市場リスク(投機欲)に“萌え欲(色気?)”と“食欲”を絡めるのは日本独特の文化・感性のように見える(個人的には“そこがいい”と思わないわけでもない)。

本来外為証拠金取引業だけで生きている業者はその商品性にエッジをたてて個性を主張しニッチに訴えかける等の戦略を取るのだが、この商品は過去15年のあいだに、大方見える隙間はたたき込まれつくした感がある。最近では自動反復注文(←私のかってな抽象名)等が目を引くが、若干の摩擦臭を伴いつつも大きな起爆剤にはならなさそうである。新たな商品を生み出しでもしない限りそうそうニッチ市場は生まれない。私が2006年に始めたCFDとて、それが周知されるのに4年かかった。実際多く業者が当たり前のように扱いだしたのは2010年以降である。しかしCFDがそれほど収益をもたらしているという感じもしない。いろいろと試した割には伸びていない(このことは過去の号でも述べたとおり)。

果たしてこのまま、トップグループに君臨する「本業」を別に持つ業者が市場を席巻してしまうのだろうか。

証券であれ銀行であれ外為証拠金取引専業であれ、また経営者や社員がどういう努力をどれだけしようとも、最後に行きつくところ(生命線上にあるの)は資本力、信用力であると痛感する。

ただ、先頭を走るから安心だというものでもないことは今回のFXCMの例を見ればよくわかる。利益とリスクの関係をもっと外から見えるようにしないと、こういう事態は外部からは予測しづらい。そのための方策として前2号において自己資本規制比率の計算モデルの見直しや、執行方針について触れた。

金融業は、いかに少ないリスク(市場リスク、取引先リスク、基礎リスク)からより多くの利潤を得るかが命題になる。取引高だけがすべてではないことは誰もが承知している。利潤は可視化しやすい。リスクは可視化しづらい。利潤に目標があるように、リスクにも目標があるべきなのだが、そういう発想はあまり一般的ではない。リスクの目標とは”どこまでをリスクとしてとらえるか。そしてどれだけのリスク相当額を想定するか”という意味である。

国内であれ海外であれ買収によって成長速度を加速化するのは企業の成長戦略としては当たり前な手段の一つである。そうして国際的な企業へと進化していってくれるのは同じ日本人としてのほのかな矜恃でもある。メガバンクがなしえなかった金融の海外展開がついに日の目を見たのである。そういうと“今までもメガバンクは海外に進出していたじゃないか”と言われそうだが、私から見ればそれはあくまでも海外進出した日系企業のために出て行っていたようにしか見えず、現地のローカルの顧客を取りに行っていたわけではないとしか見えない。ニューヨーク、アリゾナ、シカゴ、シンガポールに住んだことのある私の実感である。そういう点ではこうした為替の業者が「金融」として海外に出て、現地の個人顧客を獲得してゆくというのは、大げさに言えば日本の海外進出の歴史にとって新たな
局面が始まったようにも見える。

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Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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