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ディーリング収益を如何に引き上げるか(2/2)

2015年08月25日(火)

>>前記事:ディーリング収益を如何に引き上げるか(2/2)を読む

■安定的なシェードモデリング〜システムの立場も考えて〜

(続き)以上を考慮した前提で、実装可能な理屈として、以下のモデルが考えられる。

仕様の骨格として、

(1)客の指値、逆指値は見ない。あくまでもCPのレートに対して反応する。

(2)CPレートのモメンタムの分散を意識する。分散(Excel関数でいうところのVARP)により、複数CPの出してくるレートの同一性が高いか低いかを考慮する。低ければ相場は安定していると考えられるのでスプレッドは狭くてもリスクは増大していないと考える。高くなった場合は、相場の安定性が失われていると考えられ、CPの拒否率も増大すると考えられるのでスプレッドを広げる圧力としてとらえる。実際に広げるかどうかは業者・ユーザーの決断の問題。あくまでも信号(アラート)として考える。

(3)シェーディングとスプレッドの固定・変動切り替えを100%自動化することを目指す。これを実装すると、週単位での顧客配信レートのスプレッドの95%以上が0.3ピップ以内でないと広告でその旨をうたってはいけないという協会ガイドラインをコントロールしにくくなるが、これも個人的意見としては、“いまさらもうそういう広告は必要ないのではないか”と思う。「当社は頑張って0.3ピップ固定週間配信率95%に挑戦していますが、時としてそれを守りきれないためそれをうたうことはしませんが、努力目標としては頑張っております」的な表現でよいではないかと思う。誰も客目線で94%と96%の区別はできないし、「スプレッドはとってもタイトです!」,「0.3固定」と言うよりも、先週は0.3が98%でした、先々週は93%でしたというデータの開示のほうがよりアピール度は高いと思うが、どうだろう。それで客が居残ってくれるかどうかはその他総合的なサービスレベルによると思う。では、仕様の説明に移る。

【仕様】

あくまでも一つのアイデアとしてであり、ある程度簡素化したモデルとお断りしたうえで展開する。実際に作るならもう少し複雑になる。

1)ベストレートを常にモニターする。ベストレートとは客に配信するレートのもととなるレートでマークアップ前のレートである、CPベストビッド、CPベストアスクを指すものとする。むろんバッドティックフィルタリングされた後のレートとする。
3)一定期間でスナップショット更新とするか、ビッドかアスクが更新されるたびに更新するかを選ぶ。
4)逆ザヤのレートになっているときは、それを捨てるとする(捨てなくてもできる)。
5)過去の配信したベストレートのモメンタムをビッド、アスクごとに追跡する。例えば、過去の[n=10]ティック分のの移動平均値MA(n)が上昇している場合は常に、10ティックの平均かい離率儺分x一定係数≪K≫ だけ右(上)にずらす、逆はその逆。これを常に稼働させる。

ShadePoint:S;
	if MA(n)>0 then 
		S=(1) * 儺 * K
	elseIf MA(n)<0 then
		S=(-1)* 1儺*K
	elseIf Ma(n)=0 then 
S=0
End if

6)Kの存在は常に人的判断による緩和剤である。モデルの完成度に自信がない限り常にこうした主観的係数は必須になる。現実的にK=0.5から実験をしてみたいところであるが呼び値単位までに反応させるにはドル円であれば1より大きい数字なることもある。マーケットが上昇方向に荒れた時、儺=5.00になるかもしれない。その時もS=5.00となる。

■スプレッドコントロール

【仕様の続き】

7)単にシェードだけでなく、客向けのスプレッドもコントロールしたい場合は、ベストレートのスプレッドを標準偏差する。その絶対値をそのままスプレッドのパラメータに加味する。
固定スプレッド:Sf
変動スプレッド:Sv=Average(BestSpread)+STDEV(BestSpread)*2*i ・・・・(2倍しないとスプレッドにならない、iは調整用の係数)
固定スプレッドSf と動的に観察し計算するスプレッドSvを常に比較する。
普段は固定スプレッドにしておきたければ、Min/Max Spread設定でフィルターを掛けることで切り替えができる。SvがSfよりも一定量超過したらSvに切り替えるという仕様を考える。
If SvIf Sv>Sf then SourceSpread=Sv・・・一定レベル以上に広がったら変動スプレッド制に移行する

一定の範囲内であれば変動にするがそれを超える場合は、固定にしたいとき。つまり、CP側がのsプレッド極端に広がっても歯止めを掛けたいとき。これは客の証拠金計算がビッドアスクを使うのでそのプレッドがトリガーとなって強制ロスカットが暴走しないようにしたいという目的では意味がある。

If SvIf Sv>Sf then SourceSpread=Sv・・・一定レベル以上に広がったら変動スプレッド制に移行する
If SV> SfMax then SouceSpread=SfMax ・・・・これ以上は絶対に広がらせない

常時固定にしておきたければ、
If SvIf Sv>Sf then SourceSpread=Sf・・・一定レベルまで広がっても固定を変えない
If SV> SfMax then SouceSpread=Sf ・・・・これ以上は絶対に広がらせない

ユーザーが設定すパラメータは、Sf, SfMax,K, iとなる。

【仕様の深堀:デプスの分散を考慮に入れる】

上記では変化のパラメータとして観察対象がベストビッド、アスクだったが、レートを提供するCPが5行以上あるのであれば,それらのデプスの分散(距離)を考慮に入れることもできる。エクセルでいうVARP関数を使う。例を挙げる。左と右の違いは最後の124.118と124.50である。その結果VARP値は、緑の数値のような変化をもたらす。この値を使って、分散傾向が高いときには、Svの値が高くなるように設定することでよりCPモメンタムにリアルに反応することができる。具体的にどういう数値を使うかは、その業者が今までに指定するCPからもらっていたレートを使ってシミュレートする必要があるし、この分析は定期的にリビューして、陳腐化しないようにしなくてはならない。

画像(332x318)

顧客に配信するレートを生成するときに見るべきは、客の指値やポジションであってはならない。それは単に、客に対して不公平だということではなくて、そうすることで本来の業者が負う市場リスクはコントロールできないという意味である。

ここで私が提唱した方法だと、客の指値という特殊な条件にフォーカスを当てる必要がなく、またそれに集中するあまり反対側(ビッドならアスク側)のリスクを気にすることもない。つまり論理的で、あらゆる市場の局面について整合性があるといこと。超個別的視点も分析の段階では大切だが、最後には全体を俯瞰して安定的で合理性があって実装に無理がないモデルを選んでいきたい。さらに言えば、法令順守的であり、投資家への説明責任が果たせること(それをすべての投資家が理解するかどうかはまた別の話)。

この方法だと、指標発表のタイミングで手動でパラメータを変更したりという操作が不要になる。手動で変更するパラメータはもっと抽象化、少数化され、変更は必ず定期的な過去データの分析と解析に依存するようになる。これはシステムに安定性をもたらす。

指標前には必ずCPはレートの出しかたを変えてくる。それを素直になぞることが、インターバンクと個人投資家をつなぐ業者の使命であるともいえるし、それが上手にできてかつ利益を失わないやり方を実現できれば、業者もそのシステムを開発した人たちもしてやったりと満足できる。

以上あらあらな解説で恐縮だが、使っている関数や、考え方は単純なものである。もっと高レベルの関数だってあるだろう。使えるならフラクタル関数だってなんだっていい。大事なのは以下で挙げる点である。

■ポイント復習:

1)このモデルは、客の動き・因果(指値、逆指値、建玉)とは関係なく、あくまでも市場リスクの源泉はインターバンク側にあるという前提に立ち、彼らCPの動きから如何にして次の数秒、あるいは数百ミリ秒のモメンタムを取り込むか(如何にシェード値を、かつスプレッド値を動的にコントロールするか、そしてその結果収益率を引き上げるか)という考え方を基本にする。見るべきは上流(インターバンク)であり、まちがっても川下(客)ではないということを強調したい。

2)客の指値の情報に一貫性はない。突然消えたりもするし出現したりもする。そういうものだけに依存した仕様は結果に不安定なばらつきをもたらしやすく、効果の評価ができないことが多い。効果を評価する環境(対象区)を用意できない実装は避けるべきである。聞いているかどうかがよくわからない薬を投与する気にならないのと同じである。

3)安定的に常時稼働するモデルのほうが運用上扱いやすい。

4)理にかなうという点で、シェードのロジックも当局・協会に対する説明がしやすく受け入れられやすい。あくまでも市場リスクに対応する方法論として説明できる。相場が荒れたときの“仲値とは”という不毛な議論を不要にする。

5)手動でコントロールするパラメータは標準偏差、分散、移動平均、とそれら対象データを取るときの過去のティック数(MA(n))のn, Sfと“呼び値”の四捨五入の単位と、それらの値のインパクトを調整する係数ぐらいとなる。これらによって構築されるモデル係数はバックテストで最適点を探すことになるが、しょっちゅう変えるものではない。係数を用いたモデリングはきっちりやることができるし結果の評価も客観的にできる。

6)人的なオペレーションによって、CP側のスプレッドの開き方とはきれいに相関しきれない変更も、このアプローチにすると、そうしたオペレーションは無用となり、CP側の動きとの相関性は高まる。管理すべきは上記のパラメータだけになる。そのほうが効率的で、説明能力が高まる。あわてて操作するといった対応は無用となるし、パラメータの変更のリテールレートへの反映スピードも上がる。

7)いくらこうした努力をしても、CPのスプレッドよりも狭いスプレッドを顧客に提供する限りその収益率の向上にはおのずと限界がある。それを打ち破るにはやはり“リスクを取る”という時間的リスクのディーリングモデルへの取込が不可欠になる。

8)当然ながら95%以上条件を守ることで「原則固定0.3」といった広告表現をし続けるという前提は捨てることになる。それでいいではないかというのが私の意見だが、どうだろう。投資家はいまどき95%の原則固定を望んでいるだろうか。むしろ、指標発表の時のヒットしてもヒットしても約定拒否される0.3ピッププライスのほうが気に入らないのではないだろうか。たとえば約定拒否0%をうたう前提ならどういうスプレッドになるだろうか。

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Posted by 尾関高

プロフィール

尾関高

尾関高

1986年名古屋大学経済学部卒業。1988年サンダーバード経営大学院(アリゾナ州、米国)卒業。主に日短エクスコにて約9年間、インターバンクの通貨オプションブローカーを経験し、1998年からひまわり証券(旧ダイワフューチャーズ)にて日本で最初に外国為替証拠金取引をシステム開発から立ち上げ、さらに、2006年5月に、これも日本で最初にCFDを開始した。
その後米国FX業者でのニューヨーク駐在や、帰国後日本のシステム会社勤務等をへて、現在は、日本の金融システム会社勤務。そのかたわら、本業のみならず、FXや新たな金融市場にかかわるさまざまな分野においても積極的に意見具申中。
拙著に、「マージンFX」(同友館、2001年2月)と「入門外国為替証拠金取引〜取引の仕組みからトラブル防止まで〜」(同友館、2004年6月)、また訳書「CFD完全ガイド」(同友館、2010年2月、著者:デイビッドノーマン)がある。

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