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| ■「流々刻々」 |
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| 為替相場など、金融市場を動かす要因はその時々によって違ってくる。材料もその時々の市場のマインドによって、それがドル売り・ドル買いと正反対になることは少なくない。市場に影響を与える景気指標など、ファンダメンタルズを分析しながら、その時々の市場の流れを解説、市場がどちらに向かおうとしているのかを読み取っていく。 |
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| ■執筆者PROFILE |
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| 山口昌一 氏 |
| マネーアンドマネードットコム |
| 編集顧問 |
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専門紙で、1985年のプラザ合意以前から、為替市場を始め債券、株式市場など金融市場、内外経済指標見通し、日銀はじめFRB、欧州等を含めた金融政策を担当する。現在は、個人投資家向け情報サイト「ふところドットコム」で金融市場、各国経済指標見通し、金融政策などを執筆している。渦中から一歩離れた視点でマーケットを見続けてきた。 |
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| コラム / 流々刻々
第5回 |
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予想外の追加緩和も、G7を前に反応薄? |
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2004年1月22日 |
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- 日銀は19、20日に開催した金融政策決定会合で、当座預金残高を従来の「27兆円〜32兆円」から「30兆円〜35兆円」に拡大することを決定しました。為替市場を始め、金融市場では、円高も介入で抑制されている中で、追加緩和の可能性はないとの見方が支配的となり、今回の追加緩和は全く織り込まれていない状況となっていました。
当初、円は対ドルで小幅安となり、対ユーロなどクロス通貨では下落幅を大きく広げる動きを見せています。対ドルでは介入で円の上値が抑制される一方、円の下値では着実に輸出企業などの円買いが持ち込まれていることで、その影響は少なかったと見られています。
逆に、ユーロなど対クロス通貨では、クロス通貨売り・円買いに市場のポジションが傾いていた分、その影響は大きかったと指摘する声が聞かれています。加えて、ユーロの上昇が顕著になる中で、ユーロ売り介入が決定されるとの思惑が広がっていましたが、これも足下のユーロ相場の水準が修正されたことで、その決定は先送りされたとの見方が市場では強まっている状況です。
また、2月6、7日に開催されるG7を材料視する動きが市場で強まっていることで、今回の追加緩和についての反応は乏しかったとの見方が聞かれている状況です。
■今回の追加緩和は政治的意味合いが大きい
通常、これほど市場の事前の見方と実際の当局の政策発動のズレが見られれば、市場の動揺は大きなものになり、まさに「織り込み度」がゼロであったことから、その影響は少なくないものと見込まれます。しかし、実際にはそれほど大きな影響はなかったことは前述したとおりです。考えられることは、今回の追加緩和は、政治的意味合いが大きなものであったと見られることです。月例経済報告に示されたようにわが国景気は回復傾向にあり、あえて今何らかの政策発動は必要ないと見込まれます。
しかし、円高が先行きの景気の芽を摘む可能性があることは同時に明記されていました。日銀が発表した金融経済月報でも、円高の懸念が示されています。そうした将来のわが国の景気に対する不安の芽を摘み取ることと、追加緩和というイメージを示すことで、景気回復に向けて日銀は万全な措置を講じていることを印象付ける措置とみられます。わが国の景気回復に向けて、政府・日銀一体で取り組んでいることのアリバイ作りとの厳しい指摘も聞かれています。逆に言えば、円高阻止で介入原資は増額したものの、その支援材料として追加緩和を行ったとも言える政策で、まさに「政治的な意味合い」が大きい政策発動だったと見られます。
■将来の副作用が心配?
また、2月6、7日にG7を控える中で、日本としても景気回復、内需拡大に向けて努力をしていることを示すものにもなりました。実際には、今回の緩和で内需が拡大し、貿易不均衡が是正できる策ではないことは明らかで、その意味では何も打つ手がないので円高阻止策をより強固にしたとの見方もできるわけです。
ただ、こうした策は将来の不透明要因を増大させていることになる可能性もあります。将来にわたって当座預金残高を増額させることが可能であるならば問題はないのですが、いずれ、増額させた当座預金残高を減額する必要に迫られた場合には、「引き締め」との見方が台頭する可能性があるわけです。本来、当座預金残高がどの水準なら緩和、どの水準では引き締め、ということはないわけで、「緩和の幅」が上下するのは、その時々の政策の優先度が大きな要因になると見込まれます。その意味では政策の自由度が失われることになります。
市場は、減額すると直ぐに引き締め、そういう発想で対応する可能性が強く、「30兆円を超える」当座預金残高が異常な数値であること自体を忘れていると見られます。そうした市場の反応に日銀は対応する必要があるわけで、減額をするときには細心の注意が必要になるでしょう。
もっとも、現在のゼロ金利政策が解除できるような政策対応ができる経済状態になれば、そうした危惧もないわけで、現在のゼロ金利政策が継続している中では、当座預金残高の額を巡ってギクシャクが続くもの見込まれます。
(山口昌一 / 2004年1月22日) |
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