■「外為人物伝〜その素顔〜」
為替業界にはなかなか個性的な方が多い。しかし、個人投資家の方たちがそれら為替ディーラーなど市場参加者に直接接する機会は限られます。せいぜい講演会やテレビで為替の相場見通しを拝聴するぐらいでしょうか。当コラムでユニークな人柄や個性などの「素顔」を余すところなく紹介していければと思います。
■執筆者PROFILE
斎藤登美夫 氏
FXニュースレター 代表
約13年間の為替専門誌記者生活を経て独立。現在は個人投資家向け為替情報会社『FXニュースレター』の代表を務める。
かつては、金融情報誌『ユーロマネー』のベストディーラー・アンケート「短期予測・銀行投票部門」でランクインした経験も。ディーラー、アナリスト、霞ヶ関などの豊富な人脈を生かした取材・情報提供には定評がある。

コラム / 外為人物伝〜その素顔〜 第21回

株式会社星野リゾート 安藤剛氏

「個人も“プロ”が使うチャートを使おう!(後編)」

2005年8月29日

◎利便性の高い「一目均衡表」、是非とも活用を

―まず始めに、前編の最後で安藤さんがおっしゃっていた「旅行業界は先行きの明るい業界」−−との話について、もう少し詳しくお話をうかがいたいのですが。

 日本は現在製造業、いわゆる第2次産業がメインです。トヨタとかSONYなど製造業は世界のトップクラスです。しかし、製造業はこれからローコストを求めて海外へとさらに流れていくことになるでしょう。その結果、所得はその他アジア諸国に移転し、いずれ日本は輸出が減少し、消費国として輸入が増えて貿易黒字が大きく減少に転じる時代が来ます。ちょうど米国の後を追うようにです。
 一方で、日本は将来的に第2次産業から第3次産業へと本格的に転換を遂げると思います。何故なら、生産は機械が人間に取って代わって出来るものですが、「サービス」それも「質の良いサービス」の提供は人間にしか出来ないからです。つまり、かつてイギリスなどが辿った道を日本も辿る可能性があります。大陸での政治経済が主役となっても、グレートブリテン島のロンドンは金融サービスの中心地です。日本もアジアの中ではサービス業を中心とした商業先進地帯になる可能性があり、そのなかのひとつとしても旅行ビジネスというものは有望であると思います。
 先に言った、貿易黒字が減少する半面、海外からのインバウンドを増やせれば旅行収支が黒字となり、それをある程度相殺することになりそうです。所得の増加したアジア諸国の国々の人がJ−POPや日本文化を求めて旅行に訪れてくれれば外貨の供給源となります。
 
 
―なるほど。そうした先のことも見越して、安藤さんは旅行業界へと転進なさったわけですね。
 しかし、どうなんでしょうか。単にジッと「観光客を待っていればやって来る」ってわけではないですよね。先行投資なり、なんなりが必要だと思いますが。

 もちろんです。先を見越しているわけではないですが、日本の文化や日本らしさを追求することが成功の鍵となると言うのはチャレンジのしがいがありますね。
 考えて欲しいのは外国人観光客が日本に来て、一番欲するものは「日本でしか見られない」あるいは「日本でしか体験できない」ことを経験すると言うことでしょう。とすれば、たとえば和風の「温泉旅館に泊まる」ことをまず前提に、日本の文化を感じられる寺院などは人気が高いような気がします。熊野古道が世界遺産に登録されましたが、これも日本的であるが故の選考かと思います。実際、いまでも古都京都の人気は外国人の間で高いですしね。
 
 
―そうすると、日本人は日本らしくあることを大事にした方が良いですね。ただ、現状はそれがどんどん失われていっているのかも知れませんね。

 そう思います。欧米のモノマネ主義はそろそろ考えたほうがいいと思いますね。みんな本物を知っていますから。外国勢に対抗するには、日本の良いところ、日本らしいところで勝負した方が勝ち目もあるかと思います。
 
 
―なんだか話が「為替」や「金融」からだいぶ乖離してしまったようなので(笑)、もう一度そちらに戻っての話を。そういえば、安藤さんはいま現在為替証拠金取引会社を通じて個人投資家として取引をされているとか。そのなかで感じた大きな不満があるそうですね。

 はい、幾つかあります。そのひとつはニュースですね。たとえばロイターの日本語版などは多くの会社で見られますが、即効性を重視するならやはりニュースは英語でしょう。日ごろから慣れ親しんだ日本語(ニュース)というものも判らなくはありませんけれど、個人的には英語ニュースを提供しているシステム・会社のポイントを高くつけたいですね。

 そして、もうひとつはチャートです。わたしは常々「個人も“プロ”が使っているものと同じチャートを使おう」と言っているのですが、実際的にはなかなか・・・。参考までに指摘すると、わたし個人が売買に使用している実践的なチャートは「一目均衡表」「MACD」「RSI」−−の3つです。とくに、「一目均衡表」の週足チャートはトレンドを予測する上で非常に有益なものだと思います。是非とも個人投資家の方たちに使用することをお奨めしますが、意外にも「一目均衡表」のチャートが見られるシステムはそれほど多くありません。そんな中で『フォーチュンキャピタル社』が提供している「プロチャート」は非常に使いやすくてトレードの良い指針になっていますね。
 
 
―最後に、そんな安藤さんから個人投資家の方たちに対して、簡単にアドバイスをお願いします。

 繰り返しになりますが、以下の2つを頭に入れておいてください。ひとつは、前述した「個人も“プロ”が使っているものと同じチャートを使おう」と言うこと。そしてもうひとつは、損切りをキッチリやろうと言うことです。相場を100%当て続けるなんてことはありえませんから、間違ったときは速やかに損切りしましょう。利益があげられない方は相場観が外れたとき、人から言われて慌てて損切りをするというタイプが多いように思います。
 証拠金が無くなるまでを損切りと考えるのではなく、狙っている値幅と比べてそれを上回るような「忍耐」はバランスが悪いと思います。例えば40〜50銭を短期間に狙っているのに、逆方向に2円も引きずっていると、収益状況はもちろん、精神的にもよくありません。また、寝ている間に何があるかわかりませんので、損切りオーダーはきちんとおいて眠るようにしましょう。これらは自分の失敗から教わった教訓です。
 
 
―本日は長いあいだ、ありがとうございました(了)。

【インタビューを終えて】

 今回インタビューに応じていただいた安藤さんが『株式会社星野リゾート』で現在中心に手掛けているものは、「軽井沢別荘Navi」というウェブサイトだそうだ。暑い夏でも涼しげな避暑地・軽井沢の「おすすめスポット」なども紹介されているので、当地に別荘を購入しよう、という人はもちろんのこと遊びに行かれる方にも大変参考になるウェブサイトだと思う。
さて、当インタビューは7月の蒸し暑いなか東京丸の内で行なったもので、安藤さんの生活拠点である軽井沢まで残念ながら足を運ぶことはなかった。ただ、いまでは軽井沢まで新幹線も通るようになり、東京からでも所要時間は1時間強といったところか。すでに「生活圏内」と言って良いかも知れない。筆者は別荘を買うだけのお金を持っていないけれど、機会があれば是非とも軽井沢まで出掛け、目の保養もかねて一度散策してきたいものだと思っている。(了)


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